このリポジトリはPHP Webアプリフレームワークである、LaravelのLTSバージョンである5.5の公式英文ドキュメントを日本語へ翻訳しています。
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「現実の世界」である道具を使用する場合、それがどのように動作するかを理解しておくほうが、自信が持てます。アプリケーションの開発も違いはありません。開発ツールがどのように働くのかを理解すれば、より快適に自信を持って使用できるのです。
このドキュメントの目的は、どのようにLaravelが動作しているのか、ハイレベルな概念を理解してもらうためです。フレームワークの概念をより良く知ってもらうことで、全てに対し「不可解さ」が減り、より自信を持ってアプリケーションを開発してもらえます。これらの言葉を今すぐ理解できなくても、気落ちしないで下さい。ただ何が行われているかを理解するための基本だけを理解してください。ドキュメントの他のセクションで明確にされる内容を理解すれば、知識は育っていくことでしょう。
アプリケーションに対するリクエストは、全てpublic/index.php
ファイルが入り口になります。Webサーバ(Apache/Nginx)の設定により、全てのリクエストをこのファイルへ渡しています。index.php
ファイルは、さほどコードを持っていません。フレームワークの残りをロードするための入り口にすぎません。
index.php
ファイルは、Composerが生成したオートローダーの定義をロードします。それから、bootstrap/app.php
スクリプトから、Laravelアプリケーションのインスタンスを取得します。Laravel自身の最初のアクションは、アプリケーション/サービスコンテナのインスタンスを生成することです。
次にアプリケーション起動のきっかけにより、送信されてきたリクエストをHTTPカーネルかコンソールカーネルのどちらかに送ります。これらのカーネルは、全リクエストフローの中心に位置し動作します。ここではapp/Http/Kernel.php
にあるHTTPカーネルに焦点を合わせます。
HTTPカーネルはIlluminate\Foundation\Http\Kernel
クラスを拡張しており、リクエストの実行前に処理されるbootstrappers(起動コード)の配列を定義しています。これらの起動コードはエラー処理、ログ設定、アプリケーション動作環境の決定、そのほか実際にリクエストが処理される前に行う必要のあるタスクです。
HTTPカーネルはさらに、アプリケーションによりリクエストが処理される前に通す必要のある、HTTPミドルウェアのリストも定義しています。これらのミドルウェアはHTTPセッションの読み書き、アプリケーションがメンテナンスモードであるかの決定、CSRFトークンの確認などを行います。
HTTPカーネルのhandle
メソッドの使い方はとてもシンプルで、Request
を受け取り、Response
をリターンします。カーネルをアプリケーション全体を表す大きなブラックボックスだと考えてください。HTTPリクエストを流し込み、HTTPレスポンスが返ってきます。
カーネル初期起動時の重要な処理の一つは、アプリケーションのサービスプロバイダをロードすることです。アプリケーションの全サービスプロバイダは、config/app.php
ファイルのproviders
配列で設定されています。最初に全プロバイダのregister
メソッドが呼び出され、その後に登録されている全プロバイダのboot
メソッドが呼び出されます。
サービスプロバイダはデータベース、キュー、バリデーション、ルーティングなど、フレームワークの様々なコンポーネントの初期起動処理に責任をもちます。フレームワークにより提供されている全機能を初期化し、設定するものですから、サービスプロバイダはLaravelの初期処理の過程全体で一番重要な機能です。
アプリケーションの初期処理が済み、全サービスプロバイダが登録されたら、ディスパッチ(実行制御の移行)するためにルーターへRequest
が手渡されます。ルーターはそのリクエストをルートかコントローラにディスパッチし、その時にルートに指定されているミドルウェアも実行されます。
サービスプロバイダはLaravelアプリケーションの初期起動段階における、まさに鍵となるものです。アプリケーションインスタンスが作成され、サービスプロバイダが登録され、初期起動を終えたアプリケーションでリクエストが処理されます。とてもシンプルです!
Laravelアプリケーションがどう構築されているか、そしてサービスプロバーイダーによる初期起動の仕組みをしっかりと把握することは、とても重要です。もちろん、皆さんのアプリケーションのためのデフォルトサービスプロバイダは、app/Providers
ディレクトリに設置されています。
AppServiceProvider
はデフォルトで完全に空っぽです。このプロバイダは皆さんのアプリケーション自身の初期起動や、サービスコンテナの結合を追加するために用意されています。もちろん大きなアプリケーションであれば、まとまった初期起動種別ごとに分け、好きなだけのサービスプロバイダを作成できます。