このリポジトリはPHP Webアプリフレームワークである、LaravelのLTSバージョンである5.5の公式英文ドキュメントを日本語へ翻訳しています。
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Eloquent ORMはLaravelに含まれている、美しくシンプルなアクティブレコードによるデーター操作の実装です。それぞれのデータベーステーブルは関連する「モデル」と結びついています。モデルによりテーブル中のデータをクエリできますし、さらに新しいレコードを追加することもできます。
使いはじめる前に確実にconfig/database.php
を設定してください。データベースの詳細はドキュメントで確認してください。
利用を開始するには、まずEloquentモデルを作成しましょう。通常モデルはapp
ディレクトリ下に置きますが、composer.json
ファイルでオートロードするように指定した場所であれば、どこでも自由に設置できます。全てのEloquentモデルは、Illuminate\Database\Eloquent\Model
を拡張する必要があります。
モデルを作成する一番簡単な方法はmake:model
Artisanコマンドを使用することです。
php artisan make:model User
モデル作成時にデータベースマイグレーションも生成したければ、--migration
か-m
オプションを使ってください。
php artisan make:model User --migration
php artisan make:model User -m
ではflights
データベーステーブルに情報を保存し、取得するために使用するFlight
モデルクラスを例として見てください。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
//
}
Flight
モデルにどのテーブルを使用するか、Eloquentに指定していない点に注目してください。他の名前を明示的に指定しない限り、クラス名を複数形の「スネークケース」にしたものが、テーブル名として使用されます。今回の例で、EloquentはFlight
モデルをflights
テーブルに保存します。モデルのtable
プロパティを定義し、カスタムテーブル名を指定することもできます。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
/**
* モデルと関連しているテーブル
*
* @var string
*/
protected $table = 'my_flights';
}
Eloquentは更にテーブルの主キーがid
というカラム名であると想定しています。この規約をオーバーライドする場合は、protectedのprimaryKey
プロパティを定義してください。
さらに、Eloquentは主キーを自動増分される整数値であるとも想定しています。つまり、デフォルト状態で主キーは自動的にint
へキャストされます。自動増分ではない、もしくは整数値ではない主キーを使う場合、モデルにpublicの$incrementing
プロパティを用意し、false
をセットしてください。主キーが整数でない場合は、モデルのprotectedの$keyType
プロパティへstring
値を設定してください。
デフォルトでEloquentはデータベース上に存在するcreated_at
(作成時間)とupdated_at
(更新時間)カラムを自動的に更新します。これらのカラムの自動更新をEloquentにしてほしくない場合は、モデルの$timestamps
プロパティをfalse
に設定してください。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
/**
* モデルのタイムスタンプを更新するかの指示
*
* @var bool
*/
public $timestamps = false;
}
タイムスタンプのフォーマットをカスタマイズする必要があるなら、モデルの$dateFormat
プロパティを設定してください。このプロパティはデータベースに保存される日付属性のフォーマットを決めるために使用されると同時に、配列やJSONへシリアライズする時にも使われます。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
/**
* モデルの日付カラムの保存フォーマット
*
* @var string
*/
protected $dateFormat = 'U';
}
タイムスタンプを保存するカラム名をカスタマイズする必要がある場合、モデルにCREATED_AT
とUPDATED_AT
定数を設定してください。
<?php
class Flight extends Model
{
const CREATED_AT = 'creation_date';
const UPDATED_AT = 'last_update';
}
Eloquentモデルはデフォルトとして、アプリケーションに設定されているデフォルトのデータベース接続を使用します。モデルで異なった接続を指定したい場合は、$connection
プロパティを使用します。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
/**
* モデルで使用するコネクション名
*
* @var string
*/
protected $connection = 'connection-name';
}
モデルと対応するデータベーステーブルを作成したら、データベースからデータを取得できるようになりました。各Eloquentモデルは、対応するデータベーステーブルへすらすらとクエリできるようにしてくれるクエリビルダだと考えてください。例を見てください。
<?php
use App\Flight;
$flights = App\Flight::all();
foreach ($flights as $flight) {
echo $flight->name;
}
Eloquentのall
メソッドはモデルテーブルの全レコードを結果として返します。Eloquentモデルはクエリビルダとしても動作しますのでクエリに制約を付け加えることもでき、結果を取得するにはget
メソッドを使用します。
$flights = App\Flight::where('active', 1)
->orderBy('name', 'desc')
->take(10)
->get();
{tip} Eloquentモデルはクエリビルダですから、クエリビルダで使用できる全メソッドを確認しておくべきでしょう。Eloquentクエリでどんなメソッドも使用できます。
複数の結果を取得するall
やget
のようなEloquentメソッドは、Illuminate\Database\Eloquent\Collection
インスタンスを返します。Collection
クラスはEloquent結果を操作する多くの便利なクラスを提供しています。
$flights = $flights->reject(function ($flight) {
return $flight->cancelled;
});
もちろんこのコレクションは配列のようにループさせることもできます。
foreach ($flights as $flight) {
echo $flight->name;
}
数千のEloquentレコードを処理する必要がある場合はchunk
コマンドを利用してください。chunk
メソッドはEloquentモデルの「塊(chunk)」を取得し、引数の「クロージャ」に渡します。chunk
メソッドを使えば大きな結果を操作するときのメモリを節約できます。
Flight::chunk(200, function ($flights) {
foreach ($flights as $flight) {
//
}
});
最初の引数には「チャンク(塊)」ごとにいくつのレコードを処理するかを渡します。2番めの引数にはクロージャを渡し、そのデータベースからの結果をチャンクごとに処理するコードを記述します。クロージャへ渡されるチャンクを取得するたびに、データベースクエリは実行されます。
cursor
メソッドにより、ひとつだけクエリを実行するカーソルを使用し、データベース全体を繰り返し処理できます。大量のデータを処理する場合、cursor
メソッドを使用すると、大幅にメモリ使用量を減らせるでしょう。
foreach (Flight::where('foo', 'bar')->cursor() as $flight) {
//
}
もちろん指定したテーブルの全レコードを取得することに加え、find
とfirst
を使い1レコードだけを取得できます。モデルのコレクションの代わりに、これらのメソッドは1モデルインスタンスを返します。
// 主キーで指定したモデル取得
$flight = App\Flight::find(1);
// クエリ条件にマッチした最初のレコード取得
$flight = App\Flight::where('active', 1)->first();
また、主キーの配列をfind
メソッドに渡し、呼び出すこともできます。一致したレコードのコレクションが返されます。
$flights = App\Flight::find([1, 2, 3]);
モデルが見つからない時に、例外を投げたい場合もあります。これは特にルートやコントローラの中で便利です。findOrFail
メソッドとクエリの最初の結果を取得するfirstOrFail
メソッドは、該当するレコードが見つからない場合にIlluminate\Database\Eloquent\ModelNotFoundException
例外を投げます。
$model = App\Flight::findOrFail(1);
$model = App\Flight::where('legs', '>', 100)->firstOrFail();
この例外がキャッチされないと自動的に404
HTTPレスポンスがユーザーに送り返されます。これらのメソッドを使用すればわざわざ明確に404
レスポンスを返すコードを書く必要はありません。
Route::get('/api/flights/{id}', function ($id) {
return App\Flight::findOrFail($id);
});
もちろんクエリビルダが提供しているcount
、sum
、max
や、その他の集計関数を使用することもできます。これらのメソッドは完全なモデルインスタンスではなく、最適なスカラー値を返します。
$count = App\Flight::where('active', 1)->count();
$max = App\Flight::where('active', 1)->max('price');
モデルから新しいレコードを作成するには新しいインスタンスを作成し、save
メソッドを呼び出します。
<?php
namespace App\Http\Controllers;
use App\Flight;
use Illuminate\Http\Request;
use App\Http\Controllers\Controller;
class FlightController extends Controller
{
/**
* 新しいflightインスタンスの生成
*
* @param Request $request
* @return Response
*/
public function store(Request $request)
{
// リクエストのバリデート処理…
$flight = new Flight;
$flight->name = $request->name;
$flight->save();
}
}
この例では、やって来たHTTPリクエストのname
パラメーターをApp\Flight
モデルインスタンスのname
属性に代入しています。save
メソッドが呼ばれると新しいレコードがデータベースに挿入されます。save
が呼び出された時にcreated_at
とupdated_at
タイムスタンプは自動的に設定されますので、わざわざ設定する必要はありません。
save
メソッドはデータベースで既に存在するモデルを更新するためにも使用されます。モデルを更新するにはまず取得する必要があり、更新したい属性をセットしてそれからsave
メソッドを呼び出します。この場合もupdated_at
タイムスタンプは自動的に更新されますので、値を指定する手間はかかりません。
$flight = App\Flight::find(1);
$flight->name = 'New Flight Name';
$flight->save();
指定したクエリに一致する複数のモデルに対し更新することもできます。以下の例ではactive
で到着地(destination
)がSan Diego
の全フライトに遅延(delayed
)のマークを付けています。
App\Flight::where('active', 1)
->where('destination', 'San Diego')
->update(['delayed' => 1]);
update
メソッドは更新したいカラムと値の配列を受け取ります。
{note} Eloquentの複数モデル更新を行う場合、更新モデルに対する
saved
とupdated
モデルイベントは発行されません。その理由は複数モデル更新を行う時、実際にモデルが取得されるわけではないからです。
一行だけで新しいモデルを保存するには、create
メソッドが利用できます。挿入されたモデルインスタンスが、メソッドから返されます。しかし、これを利用する前に、Eloquentモデルはデフォルトで複数代入から保護されているため、モデルへfillable
かguarded
属性のどちらかを設定する必要があります。
複数代入の脆弱性はリクエストを通じて予期しないHTTPパラメーターが送られた時に起き、そのパラメーターはデータベースのカラムを予期しないように変更してしまうでしょう。たとえば悪意のあるユーザーがHTTPパラメーターでis_admin
パラメーターを送り、それがモデルのcreate
メソッドに対して渡されると、そのユーザーは自分自身を管理者(administrator)に昇格できるのです。
ですから最初に複数代入したいモデルの属性を指定してください。モデルの$fillable
プロパティで指定できます。たとえば、Flight
モデルの複数代入でname
属性のみ使いたい場合です。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
/**
* 複数代入する属性
*
* @var array
*/
protected $fillable = ['name'];
}
複数代入する属性を指定したら、新しいレコードをデータベースに挿入するためにcreate
が利用できます。create
メソッドは保存したモデルインスタンスを返します。
$flight = App\Flight::create(['name' => 'Flight 10']);
既に存在するモデルインスタンスへ属性を指定したい場合は、fill
メソッドを使い、配列で指定してください。
$flight->fill(['name' => 'Flight 22']);
$fillable
が複数代入時における属性の「ホワイトリスト」として動作する一方、$guarded
の使用を選ぶことができます。$guarded
プロパティは複数代入したくない属性の配列です。配列に含まれない他の属性は全部複数代入可能です。そのため$guarded
は「ブラックリスト」として働きます。もちろん$fillable
か$guarded
のどちらか一方を使用してください。両方一度には使えません。以下の例は、price
を除いた全属性に複数代入できます。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class Flight extends Model
{
/**
* 複数代入しない属性
*
* @var array
*/
protected $guarded = ['price'];
}
全属性を複数代入可能にする場合は、$guarded
プロパティに空の配列を定義します。
/**
* 複数代入しない属性
*
* @var array
*/
protected $guarded = [];
firstOrCreate
/ firstOrNew
他にも属性の複数代入可能な生成メソッドが2つあります。firstOrCreate
とfirstOrNew
です。firstOrCreate
メソッドは指定されたカラム/値ペアでデータベースレコードを見つけようします。モデルがデータベースで見つからない場合は、最初の引数が表す属性、任意の第2引数があればそれが表す属性も同時に含む、レコードが挿入されます。
firstOrNew
メソッドもfirstOrCreate
のように指定された属性にマッチするデータベースのレコードを見つけようとします。しかしモデルが見つからない場合、新しいモデルインスタンスが返されます。firstOrNew
が返すモデルはデータベースに保存されていないことに注目です。保存するにはsave
メソッドを呼び出す必要があります。
// nameでフライトを取得するか、存在しなければ作成する
$flight = App\Flight::firstOrCreate(['name' => 'Flight 10']);
// nameでフライトを取得するか、存在しなければ指定されたnameとdelayedを含め、インスタンス化する
$flight = App\Flight::firstOrCreate(
['name' => 'Flight 10'], ['delayed' => 1]
);
// nameで取得するか、インスタンス化する
$flight = App\Flight::firstOrNew(['name' => 'Flight 10']);
// nameで取得するか、nameとdelayedを含めインスタンス化する
$flight = App\Flight::firstOrNew(
['name' => 'Flight 10'], ['delayed' => 1]
);
updateOrCreate
また、既存のモデルを更新するか、存在しない場合は新しいモデルを作成したい状況も存在します。これを一度に行うために、LaravelではupdateOrCreate
メソッドを提供しています。firstOrCreate
メソッドと同様に、updateOrCreate
もモデルを保存するため、save()
を呼び出す必要はありません。
// OaklandからSan Diego行きの飛行機があれば、料金へ99ドルを設定する。
// 一致するモデルがなければ、作成する。
$flight = App\Flight::updateOrCreate(
['departure' => 'Oakland', 'destination' => 'San Diego'],
['price' => 99]
);
モデルを削除するには、モデルに対しdelete
メソッドを呼び出します。
$flight = App\Flight::find(1);
$flight->delete();
上記の例ではdelete
メソッドを呼び出す前にデータベースからモデルを取得しています。しかしモデルの主キーが分かっている場合なら、モデルを取得せずに削除できます。destroy
メソッドを呼び出してください。
App\Flight::destroy(1);
App\Flight::destroy([1, 2, 3]);
App\Flight::destroy(1, 2, 3);
もちろん一連のモデルに対する削除文を実行することもできます。次の例はactiveではない印を付けられたフライトを削除しています。複数モデル更新と同様に、複数削除は削除されるモデルに対するモデルイベントを発行しません。
$deletedRows = App\Flight::where('active', 0)->delete();
{note} 複数削除文をEloquentにより実行する時、削除対象モデルに対する
deleting
とdeleted
モデルイベントは発行されません。なぜなら、削除文の実行時に、実際にそのモデルが取得されるわけではないためです。
実際にデータベースからレコードを削除する方法に加え、Eloquentはモデルの「ソフトデリート」も行えます。モデルがソフトデリートされても実際にはデータベースのレコードから削除されません。代わりにそのモデルにdeleted_at
属性がセットされ、データベースへ書き戻されます。モデルのdeleted_at
の値がNULLでない場合、ソフトデリートされています。モデルのソフトデリートを有効にするにはモデルにIlluminate\Database\Eloquent\SoftDeletes
トレイトを使い、deleted_at
カラムを$dates
プロパティに追加します。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
use Illuminate\Database\Eloquent\SoftDeletes;
class Flight extends Model
{
use SoftDeletes;
/**
* 日付へキャストする属性
*
* @var array
*/
protected $dates = ['deleted_at'];
}
もちろんデータベーステーブルにもdeleted_at
カラムを追加する必要があります。Laravelスキーマビルダにはこのカラムを作成するメソッドが存在しています。
Schema::table('flights', function ($table) {
$table->softDeletes();
});
これでモデルに対しdelete
メソッドを使用すれば、deleted_at
カラムに現在の時間がセットされます。ソフトデリートされたモデルに対しクエリがあっても、削除済みのモデルはクエリ結果に含まれません。
指定されたモデルインスタンスがソフトデリートされているかを確認するには、trashed
メソッドを使います。
if ($flight->trashed()) {
//
}
前述のようにソフトデリートされたモデルは自動的にクエリの結果から除外されます。しかし結果にソフトデリート済みのモデルを含めるように強制したい場合は、クエリにwithTrashed
メソッドを使ってください。
$flights = App\Flight::withTrashed()
->where('account_id', 1)
->get();
withTrashed
メソッドはリレーションのクエリにも使えます。
$flight->history()->withTrashed()->get();
onlyTrashed
メソッドによりソフトデリート済みのモデルのみを取得できます。
$flights = App\Flight::onlyTrashed()
->where('airline_id', 1)
->get();
時にはソフトデリート済みのモデルを「未削除」に戻したい場合も起きます。ソフトデリート済みモデルを有効な状態に戻すには、そのモデルインスタンスに対しrestore
メソッドを使ってください。
$flight->restore();
複数のモデルを手っ取り早く未削除に戻すため、クエリにrestore
メソッドを使うこともできます。他の「複数モデル」操作と同様に、この場合も復元されるモデルに対するモデルイベントは、発行されません。
App\Flight::withTrashed()
->where('airline_id', 1)
->restore();
withTrashed
メソッドと同様、restore
メソッドはリレーションに対しても使用できます。
$flight->history()->restore();
データベースからモデルを本当に削除する場合もあるでしょう。データベースからソフトデリート済みモデルを永久に削除するにはforceDelete
メソッドを使います。
// 1モデルを完全に削除する
$flight->forceDelete();
// 関係するモデルを全部完全に削除する
$flight->history()->forceDelete();
グローバルスコープにより、指定したモデルの全クエリに対して、制約を付け加えることができます。Laravel自身のソフトデリート機能は、「削除されていない」モデルをデータベースから取得するためにグローバルスコープを使用しています。独自のグローバルスコープを書くことにより、特定のモデルのクエリに制約を確実に、簡単に、便利に指定できます。
グローバルスコープは簡単に書けます。Illuminate\Database\Eloquent\Scope
インターフェイスを実装したクラスを定義します。このインターフェイスは、apply
メソッドだけを実装するように要求しています。apply
メソッドは必要に応じ、where
制約を追加します。
<?php
namespace App\Scopes;
use Illuminate\Database\Eloquent\Scope;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
use Illuminate\Database\Eloquent\Builder;
class AgeScope implements Scope
{
/**
* Eloquentクエリビルダへ適用するスコープ
*
* @param \Illuminate\Database\Eloquent\Builder $builder
* @param \Illuminate\Database\Eloquent\Model $model
* @return void
*/
public function apply(Builder $builder, Model $model)
{
$builder->where('age', '>', 200);
}
}
{tip} クエリのSELECT節にカラムを追加するグローバルスコープの場合は、
select
の代わりにaddSelect
メソッドを使用してください。これにより、クエリの存在するSELECT節を意図せずに置き換えてしまうのを防げます。
モデルにグローバルスコープを適用するには、そのモデルのboot
メソッドをオーバライドし、addGlobalScope
メソッドを呼び出します。
<?php
namespace App;
use App\Scopes\AgeScope;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class User extends Model
{
/**
* モデルの「初期起動」メソッド
*
* @return void
*/
protected static function boot()
{
parent::boot();
static::addGlobalScope(new AgeScope);
}
}
スコープを追加した後から、User::all()
は以下のクエリを生成するようになります。
select * from `users` where `age` > 200
Eloquentではクロージャを使ったグローバルスコープも定義できます。独立したクラスを使うだけの理由がない、簡単なスコープを使いたい場合、特に便利です。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
use Illuminate\Database\Eloquent\Builder;
class User extends Model
{
/**
* モデルの「初期起動」メソッド
*
* @return void
*/
protected static function boot()
{
parent::boot();
static::addGlobalScope('age', function (Builder $builder) {
$builder->where('age', '>', 200);
});
}
}
特定のクエリからグローバルスコープを削除した場合は、withoutGlobalScope
メソッドを使います。唯一の引数として、クラス名を受けます。
User::withoutGlobalScope(AgeScope::class)->get();
複数、もしくは全部のグローバルスコープを削除したい場合も、withoutGlobalScopes
メソッドが使えます。
// 全グローバルスコープの削除
User::withoutGlobalScopes()->get();
// いくつかのグローバルスコープの削除
User::withoutGlobalScopes([
FirstScope::class, SecondScope::class
])->get();
ローカルスコープによりアプリケーション全体で簡単に再利用可能な、一連の共通制約を定義できます。例えば、人気のある(popular)ユーザーを全員取得する必要が、しばしばあるとしましょう。スコープを定義するには、scope
を先頭につけた、Eloquentモデルのメソッドを定義するだけです。
スコープはいつもクエリビルダインスタンスを返します。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class User extends Model
{
/**
* 人気のあるユーザーだけに限定するクエリスコープ
*
* @param \Illuminate\Database\Eloquent\Builder $query
* @return \Illuminate\Database\Eloquent\Builder
*/
public function scopePopular($query)
{
return $query->where('votes', '>', 100);
}
/**
* アクティブなユーザーだけに限定するクエリスコープ
*
* @param \Illuminate\Database\Eloquent\Builder $query
* @return \Illuminate\Database\Eloquent\Builder
*/
public function scopeActive($query)
{
return $query->where('active', 1);
}
}
スコープが定義できたらモデルのクエリ時にスコープメソッドを呼び出せます。しかしメソッドを呼び出すときにscope
プレフィックスを付ける必要はありません。様々なスコープをチェーンでつなぎ呼び出すこともできます。例を見てください。
$users = App\User::popular()->active()->orderBy('created_at')->get();
引数を受け取るスコープを定義したい場合もあるでしょう。スコープにパラメーターを付けるだけです。スコープパラメーターは$query
引数の後に定義しする必要があります。
<?php
namespace App;
use Illuminate\Database\Eloquent\Model;
class User extends Model
{
/**
* 指定したタイプのユーザーだけを含むクエリのスコープ
*
* @param \Illuminate\Database\Eloquent\Builder $query
* @param mixed $type
* @return \Illuminate\Database\Eloquent\Builder
*/
public function scopeOfType($query, $type)
{
return $query->where('type', $type);
}
}
これでスコープを呼び出すときにパラメーターを渡せます。
$users = App\User::ofType('admin')->get();
Eloquentモデルは多くのイベントを発行します。creating
、created
、updating
、updated
、saving
、saved
、deleting
、deleted
、restoring
、restored
、retrieved
のメソッドを利用し、モデルのライフサイクルの様々な時点をフックすることができます。イベントにより特定のモデルクラスが保存されたりアップデートされたりするたび、簡単にコードを実行できるようになります。
retrieved
は、データベースから既存のモデルを取得した時に発行されます。新しいアイテムが最初に保存される場合にcreating
とcreated
イベントが発行されます。新しくないアイテムにsave
メソッドが呼び出されるとupdating
とupdated
イベントが発行されます。どちらの場合にもsaving
とsaved
イベントは発行されます。
使用するには、Eloquentモデルに$dispatchesEvents
プロパティを定義します。これにより、Eloquentモデルのライフサイクルの様々な時点を皆さん自身のイベントクラスへマップします。
<?php
namespace App;
use App\Events\UserSaved;
use App\Events\UserDeleted;
use Illuminate\Notifications\Notifiable;
use Illuminate\Foundation\Auth\User as Authenticatable;
class User extends Authenticatable
{
use Notifiable;
/**
* モデルのイベントマップ
*
* @var array
*/
protected $dispatchesEvents = [
'saved' => UserSaved::class,
'deleted' => UserDeleted::class,
];
}
特定のモデルに対し、多くのイベントをリスニングしている場合、全リスナのグループに対するオブザーバを一つのクラスの中で使用できます。オブザーバクラスは、リッスンしたいEloquentイベントに対応する名前のメソッドを持ちます。これらのメソッドは、唯一の引数としてモデルを受け取ります。Laravelはオブザーバのためのデフォルトディレクトリを用意していませんので、オブザーバクラスを設置するディレクトリを作成してください。
<?php
namespace App\Observers;
use App\User;
class UserObserver
{
/**
* User作成イベントのリッスン
*
* @param \App\User $user
* @return void
*/
public function created(User $user)
{
//
}
/**
* User削除イベントのリッスン
*
* @param \App\User $user
* @return void
*/
public function deleting(User $user)
{
//
}
}
オブザーバを登録するには、監視したいモデルに対し、observe
メソッドを使用します。サービスプロバイダの一つの、boot
メソッドで登録します。以下の例では、AppServiceProvider
でオブザーバを登録しています。
<?php
namespace App\Providers;
use App\User;
use App\Observers\UserObserver;
use Illuminate\Support\ServiceProvider;
class AppServiceProvider extends ServiceProvider
{
/**
* アプリケーションサービスの初期起動処理
*
* @return void
*/
public function boot()
{
User::observe(UserObserver::class);
}
/**
* サービスプロバイダの登録
*
* @return void
*/
public function register()
{
//
}
}